第三弾

いろんな立場の方々と”イバショ”について飲みながら考えてみた!

第三弾 対談者:NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会 事務局長 上田理香さん

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上田さん:一番シンプルに考えると、「いていい場所」かな。つまり、邪魔者扱いされない場所。けっこうね、1人で入るラーメン屋さんとか居場所になったりするし。お1人様で入っても、雰囲気として馴染めるような場所という感覚だよね。

 

:普通のカラオケ店には1人じゃ行き辛いけど、1人カラオケ専門店だったら行けるみたいな。

 

上田さん:そうそう。それなんか、自分がいてOKなんだっていう居場所だよね。居場所の定義はとにかく、自分が安心できる場所だから。あんまり私自身は、他者と交流するってことだけが居場所だとは思わなくて。例えば、美術館で作品を観て「あ~」と思っているのも、私は居場所的感覚があるなぁとか。あと、会話じゃないものにも居場所的感覚があるかも。何もしゃべらないけど、一緒にいて安心できる感覚。

 

:会話がなくても、居心地がいい関係?

 

上田さん:居心地がいい、許されてるって感覚だよね。要は、相手の期待に沿うことを頑張らなくていいし、そのまんまでいいっていう。

 

:人がいると、ついしゃべらなきゃ!ってなっちゃうけど、そうじゃなくて、自然体でいいんだっていう。しゃべれない時は別に無理してしゃべらなくていいという関係は、確かに居心地がいいかもしれないですね。

 

上田さん:そこにいるだけでいいよ~、しゃべってもしゃべらなくてもいいよ~っていうのは大事。「頑張っちゃうってことをしなくていいんだよ」というような。頑張っちゃう人は頑張っちゃうんだけどね。それも大事な気づきだと思うし。学校の教室で居場所だったのは、寝ている時かな、違うか(笑)。

 

:あ、分かります。本読んでる時(笑)。または、絵を描いてるか。図書室で1人黙々と本を読んでいる感じは、居心地が良かった気がします。

 

上田さん:私は放送部だったんだけど、放送室にいて、好きな自分の音楽をセレクションしている時とかは、すごい良かった。1人の時間って、けっこういいかもしれないって思う。特に、旅行とか行くとよくわかるんだけど、1人で気ままに旅をしている方が居心地いいんですよね~。

 

:確かに。家族旅行とか行っても、いつも旅行先では1人行動でした。

 

上田さん:そうなんだ!すごいいいね!もうそれぞれ?

 

:勝手に1人行動やってましたね。山登りとか行っても、人のいるところが煩わしいから、険し目であっても人が少ないコースに1人で行って。「じゃあ私こっち行くわ」って(笑)。そっちの方が居心地が良かったから。

 

上田さん:そうやって自分が行きたいものを疎外されないっていうの、とても大事かなって思う。そういうことができる相手は大切。

 

:人といると、必然的に妥協とかが生まれるし、無理して合わせる部分とかもあったりするから、そういう意味では、1人でいられるというのは、自分のやりたいことを通せる経験ができるっていうこと。案外、人と一緒にいるとできない体験ですよね。

 

上田さん:本当にそう。だから最近は、美味しいものを食べに1人でもぜんぜん行ける。1人で味わうのがけっこう好きで。

 

:じゃあ、1人でお店行ったり?

 

上田さん:うん、たまたまプラッと入るとかあるよ~。ちょっとした和のお店。お1人様用のほろ酔いセットとかあるのよ。そういう看板があるところは、1人でもすごいくつろげるカウンターがあったり。別に予約も何もしてないけど、「ここなんか良さそうだな」って入ると楽しい(笑)。

 

:大人の女性が、お店で1人食べているのを見てると、格好いいって思っちゃう!

 

上田さん:カウンターとかで女性が飲むと格好いいよね!あれはすごいわ。私もまだまだできない(笑)。自分のために、自分の贅沢を知ってるっていうか、自分へのとっておきのご褒美みたいな感じになれるっていいよね。

 

:上田さんのお話を聞いて、より1人の時間が大切に思えてきました。私は、1日の中で絶対に1人の時間が必要なんですよ。1人で自分の贅沢を味わう時間というのは楽しい!

 

上田さん:楽しいよねぇ~本当に!

 

:1日中人といるっていうのは、まず無理なタイプだから、絶対に結婚向いてないと思うんですけど、結婚されている方からしたらそこはどうですか?

 

上田さん:お互いにそれを大事にしている人同士だといいと思う。旦那は旦那で自分の時間を。いつもべったりっていうのは、お互いやっぱり違うかな。

 

:そっか、お互いにやりたいことをそれぞれやっている感じ。

 

上田さん:ちょっと最近は構わなさ過ぎで、色々グチグチ言われることもあるけど(笑)。

 

:もっと構ってよ~って?可愛い旦那さんじゃないですか!

 

上田さん:そう、そういうのが出せる人なんだよねぇ~。

 

:その辺りは別の機会に詳しく!(笑)話戻っちゃうんですけど、ひきこもり支援界隈の、ひきこもりの方の居場所では、しゃべらなくてもいいっていうのが重要視されているってことなんですか?

 

上田さん:そうですね。話すってことは、1つのツールだけど、そんなに重要ではないっていうか。コミュニケーション重視っていうのが続いたと思うのよ。ウケること言えたり、空気読んで場が盛り上がったりとか。それももう、どうなんだろうっていう。その人の本質とか素晴らしさとか、コミュニケーションの仕方はその人それぞれなんだっていうところ。さおりさんだったら、絵っていうのがあったり。

 

:私は口で伝えるのが苦手な分、代わる手段として絵を使ってきたので、言葉だけが表現の手段じゃないとは思います。

 

上田さん:そういうカミングアウトや、自分らしい表現を普通にできあう風になっていったらいいな。

 

:カミングアウトできる大人は格好いいなって思います。大人のイメージって、仕事ができて当たり前で、弱いところは見せない。特に、年下に格好悪いところを見せたら示しがつかないじゃないですか。その上で、いい年した大人で自分の弱さをカミングアウトできる人って、すごいな!って思うんですよ。ある意味、相手と対等な場に立とうとしている証明でもあるから。

 

上田さん:たぶん弱さを否定してないんだと思うよね。弱さを恥ずかしいとか、隠さなきゃと思っていると言えないけど、本当に自己受容できて発信できる人って、弱さをある程度自分の一部として強みにしている。そういう自分があったから、色んなことが分かったり感じられたりする。人の痛みが分かるっていうのは、弱さだったり、もろさだったり。私は、自分の弱さを見せない人って、むしろ弱さがにじみ出てたりすると思う。人って弱さを隠すから、周りの人の方がそれを分かっちゃうんだよね。あ~虚勢張ってるな~って。だからね、弱さをカミングアウトする人は素晴らしいんだけど、弱さを隠そうとしている人の気持ちっていうのも、両方分かるというか。隠すことも弱さなんだよね。

 

:なるほど、そういう弱さもあるんだ。それを思うと、人間ってみんな弱いですね。

 

上田さん:そう、弱いよね!!悲しいっていうかね。

 

:人間は、こうも脳が発達してしまったから、ある意味不幸な生き物だと思うし、だからこそ助け合いっていうのができるんだと思います。

 

上田さん:うん!そうなの!だけど、争いも起こる。

 

:YesかNoかという考え方だけだと、それはそれで機械的というか、争いの元のような気がします。

 

上田さん:私はね、二分法ってあんまり好きじゃなくて。人間みんなグラデーションで生きているので、AかBかって分けるとすごく楽なんだけど、両方持ってるんだよね。そっちのタイプの方が多いかなっていうのはあると思うんだけどね。

 

:どっちが正しいか間違いかみたいなのも、二分法ですよね。

 

上田さん:その通り。好きか嫌いかとかね。そんな簡単に決められないじゃん!って。白黒つけられないよね。曖昧さとか不確かさっていうのもけっこう好きで、実はすごく大事。モヤモヤし続けるっていうのが、実は大切な能力なのかもしれない。答えを出そうとしないっていう、そこにこそ対話力がある。

 

:YesかNoで決めるっていうのは、定義するってことじゃないですか。定義したら、その物事の一面しか見られなくなっちゃうのだと思う。その、「モヤモヤするのがこれからの時代大切だ」っていう文章を、どこかで見た気がします。たしか、『A』っていう名前の本。

 

上田さん:オウム真理教のドキュメンタリー。

 

:その本の、最後の書評のところかな。『A』を書いた作者のように、悪か正義かじゃなくて、その中間に立ってモヤモヤするのが今後は重要なんだ、っていうような言葉をそれで見た。

 

上田さん:そうだと思う。まさにコロナって、そういう時代で。モヤモヤ感は、Negative capabilityっていって、ネガティブな状況、もうこれ以上無理だっていう状況でも耐えうる力でもあったり。絶対治らない病気を抱えていたり、コロナのように治療方法が無かったり、そういうのがあっても日々のささやかな日常を楽しんで、幸せに暮らそうとできる能力。それはそれだよね、まぁいいじゃん、何とかなるさ!みたいな。戦争のあの、何だっけ・・・タイトルが浮かばない。広島のアニメで。

 

:あ、観た!『この世界の片隅に』。

 

上田さん:そう!あれこそ、そうだなって思うし。日々のご飯どうしようとか。

 

:戦争しているけども、目の前の食事を美味しく食べたりとか、風景を絵に描いて「あら素敵!」みたいな。

 

上田さん:そうそう!それってすごい幸せ力だと思うの!

 

:今この時を楽しむ。大学で習っていた、禅僧で造園デザイナーでもある先生の本に書いてあったんですけど、過ぎたことからは意識を離して、ただ今の五感を働かせることが禅宗では大切なんだそうです。それが、心を安定化させる方法論として本には書いてあって。まさしく今、上田さんが「チーズ美味しい!」って至福な顔をしてたの、これは見習わないとなって思います!(笑)

 

上田さん:このチーズめっちゃ美味しいよね!一個食いしたら濃厚でスゴかった!おぉ~みたいな(笑)。

 

:ここのお店美味しいですよね!・・・ちょっとお腹が(太ってきてヤバい)(笑)。

 

上田さん:五感が求めてるとねぇ~なかなかねぇ~(笑)。

 

:そう、求めちゃうんですよ味覚が!!(笑)

 

上田さん:美味しいものってすごい力があるんだよね!

 

:五感っていいですよね。触って心地のいいものとかって癒されますし、何かを見て美しいとか格好いいとか、心奪われて時間を忘れる時だってありますし。子どもの教育の分野では五感教育が大切ってよく言われるんですけども、私はむしろ、大人が五感を感じられる体験こそ大切だなって思うんです。大人だからこそ頭でっかちになっちゃうから。

 

上田さん:同意見!!大人こそ大事だし、理屈じゃないんだよねぇ。ひきこもりの親御さんも、自分を後回しに生きている人が多いから、自分のいるここで感じていることを大切にできるといいなと。みんながこうだからというより、なぜ自分がそう思ったのかということを整理しながら、お話をじっくり聴いていく。インタビューの場も自己洞察を深めていけるよね。これからもさおりさんの感性でどんどん訊いてほしい。アートって直感もあるじゃん。

 

:直感ですよ!理屈なんて、後からついてくるもの。

 

上田さん:だよね!芯に宿るものっていうか。

 

:腰が重くて、考えちゃう方なんですけど、結局最後は直感なんです。格好いいとか楽しいとか、それで決めちゃう。

 

上田さん:私も今日誘ってもらえてすごい嬉しかった!

 

:前回対談した佐藤さんから、上田さんはお酒、日本酒?を3杯飲んだら大変になるって聞いてたんですけど、ぜんぜん大変じゃなかったです(笑)。

 

上田さん:そんな3杯くらいで!5杯は飲まないと(笑)。

 

:上田さんとしては5杯なんですね。でも、佐藤さんから見たら3杯なんでしょうね。

 

上田さん:そこは、ちょっと佐藤さあぁぁぁんって感じ(笑)。