第五弾
いろんな立場の方々と”イバショ”について飲みながら考えてみた!
第五弾 対談者:カウンセリングサロンぱすてる 産業カウンセラー
喜々津 博樹 さん
この記事は10分で読めます。*酔っ払っていることがあります。発言の責任は問わないでください*
喜々津さん:まずパッと思い浮かんだのは、自分が(カウンセラーを)やっているからかもしれないんですけど、自分の本当に正直な気持ちを誰かにきいてもらって、自分の気持ちを確認したり、きいてもらうことでちょっと安心感を得たりとか。それもね、すっごい居場所だなぁと思ってましてね。
私:本音を話せる場所。それが、居場所としての機能っていう?
喜々津さん:まさにカウンセリングってね、そういう要素があって。本音を吐き出して安心感を得たり、すっきりできたりとか。自分を肯定してもらえるような場所だと思うんですよね。
私:本音とか悩みって普段、私なんかはあんまり話せないと言いますか。「心配かけさせちゃ申し訳ない」とか「言ったところで“構ってちゃん”に思われるかも」みたいな感じに思っちゃって。だから、本音を話せる場所は、私も貴重な場所だなぁと思うんです。普段喜々津さんは、悩みを人に話されたりしますか?
喜々津さん:自分の場合はね、内容にもよるかもしれないんですけども、誰かに話す前に自分で自問自答して解決の方向に持っていくというか。それで済む時もあるんですよね。でも、それだけだとわからない時もあって、まだ自分の中でモヤモヤしたりとかいう時は、話をきいてもらうっていうね。そういうことを、自分がカウンセラーになってからするようになりました。
私:それまでは、また違ったんですか?
喜々津さん:それまではね、まだそういうカウンセリングのこともよく知らなかったので、前の会社の上司にきいてもらったりとか.相談しましたけども。でもね、その上司が必ずしも適切な回答に触れるとは限らないんですよね。今思うと、あの時相談したことはちょっと・・・失敗というか。良い方向に進まなかったこともあったんですよね。「そんな気にするな」で終わってしまったりとか。
私:ぅわ〜〜〜、あるある!(笑)
喜々津さん:ええ(笑)。けっこうね、僕が否定されるっていうか、あんまり肯定されなかったりとか。あと、一緒に考えてもらえなかったり、あんまり深く考えてもらえなかったりとか。そういう経験はしましたかね。
私:悩みを軽く見られちゃったりとかね。「気にするな」って言われても、気にしちゃうから相談しているのに、無茶ありますよ。難しいですよね。
喜々津さん:そうですよね。そういう経験があって、カウンセリングの大切さを僕はすごく感じてるので。カウンセリングまでいかなくても、いわゆる「傾聴」がきちんとできるとね、人間関係とか悩みってすごく軽減されるなっていうのは感じてますね。
私:傾聴って、具体的にどういったスキルなんですか?「普通に聞く」のと「傾聴」との違いっていうのを良かったら教えてほしいんですけども。
喜々津さん:「聴く」と「聞く」って、やっぱり違うんですよねまったく。「積極的に、相手を理解しようとして聴く」っていうね。耳偏に十、目、心って書く。だから、目と心が必要なんです。いかに相手に耳を傾けて、熱心に積極的に心で聴くというか。
私:なるほど!相手を理解しようとして聴くのが耳偏の方。
喜々津さん:そうですね。で、普通の「聞く」っていうのはね、自然と「聞こえてくる」。受け身ですよね。
私:今ふっと思ったのが、たとえば、国会議員の論争でも良いんですけども、自分が絶対に正しいと思っていて、相手が絶対的に間違っていると思いながらやる会話っていうのは、積極的にという意味では耳偏の方と思えるけども、相手を理解するためって考えると、耳偏の方じゃないのかもしれない。
喜々津さん:あぁ〜そうですね!
私:「理解をしようとする」っていうのがキモなのかなって思いました。
喜々津さん:まさに、おっしゃる通りですね。私もとおふじさんの話を聴いて、国会のあれは、聴いているのかもしれないんですけども、聴くよりもまずはこっちの意見を言うというか。議論とか対論というかね。
私:それを考えると、漢字の違いだけでもすごく深いなぁ。
喜々津さん:字の違いと意味の違いですよね。だから、傾聴がきちんとできると、相手を理解しようとして相手を受け止めるんですよね。
私:まず肯定がある。
喜々津さん:そうですね。否定しない。
私:そういう心得がある人に本音を聴いてもらう場っていうのは、貴重な居場所なんだなって思います。
喜々津さん:ありがとうございます。そういう存在が1人いるかいないかって、大分違う気がするんですよね。いわゆる自殺の問題と関わっていると思うんです。
私:というと?
喜々津さん:日本の自殺者は、圧倒的に男性が多いんですね。コロナになった去年は、女性がすんごい増えちゃったんですよ。男性は逆にちょっと減ったんですけど、トータルの数字は、女性より男性の方が倍以上死んでるんです。何故かと言うと、外に相談できないんですよね。
私:共感されて救われたい、みたいな感じになりやすい女性脳と違って、一般的に男性脳は、一人で解決したいと考える傾向があるから、自分で解決しようと頑張っちゃう?
喜々津さん:もしくは溜め込んじゃうというか。で、結局もうダメなんじゃないかって。
私:なるほど・・・。話せる人がいるかどうかは、相当人生にかかってくるように感じます。喜々津さんは、大学が臨床心理学専攻とかだったんですか?
喜々津さん:あ、まったく関係ないですね。文学部でしたから。
私:あら文学部!卒業論文はどういうのを書かれたんですか?
喜々津さん:卒業論文ね(笑)ちょっと、自分にとっては、もうすっごい恥ずかしい歴史で、あんまり話したくないんですけども(笑)
私:じゃあいいです(笑)大丈夫です(笑)
喜々津さん:本当にいい加減でした(笑)大学3〜4年生になってからは、あんまり授業出ないで山ばっかり登ってたんですね。
私:たしか、登山サークルだったんですよね。特に印象に残ってる山とかあります?
喜々津さん:たくさんあるんですけども、大学4年生の時に登った、北海道の日高山脈。そこがね、原始の山というか、ヒグマもいるし、すごい山深いところなんです。たしか、テントで17泊だったかな。それが本当にキツかったんですけども、すっごい心に残ってますね。全然人が入っていない山だったんですよ。それこそ(薮を)掻き分けて行くようなところもあったし。お米を持ってって、ご飯を炊いてね。
私:すごい、本気の山登り!それは良い思い出になりますね。
喜々津さん:山ではね、たくさん野生動物に会いますよ。カモシカとか鹿とかね。アルプスでは雷鳥とか。あと、八ヶ岳とか大好きで、原生林って言うんですかね。湖とか沼とかあって、本当に綺麗で静かで。そう、僕にとっては、山も居場所ですね。
私:日本って、植生豊かで、四季があって、いろんな生き物がいる。私も昔、人間関係に疲れた時に、人以外の生き物を感じられる自然が好きでした。居場所的な感じに思ってましたね。
喜々津さん:自然の居場所ですか。
私:だから、修士論文で自然崇拝を研究してたことがあって。西洋人は、崇高論でいうと岩山をイメージするんですって。なんの生き物もいない、人間にとってなんの恵みもない岩山。そういう、畏怖を感じさせるものが崇高の対象。対して東洋って、緑が生い茂る、人間と親和性の高い山に対して崇高を感じるっていう違いがあって。だから、山や自然を居場所的に感じるっていうのは、もしかしたら東洋独特の感じ方なのかもしれないです。
喜々津さん:今ね、話を聴いていて思い出したのは、アイヌ民族の文化とか考え方。本当に自然と一体となっているというか、それこそ熊がよく出てくるし、イヨマンテとかね。鮭を必要以上の分には取らないとか。自然と共存したアイヌ民族の生き方がすっごく大好きで。アイヌの話をするとすごく長くなっちゃうんですけども(笑)ああいう文化を日本人は知るべきだなぁと思いますね。
私:アイヌのあの文化は独特ですよね。あと、山の話で思ったのは、森林セラピーってご存じですか?
喜々津さん:名前はよく聞くんですけど。
私:自然の中でヨガをしたりとか、精神科系の病気の療養に使われたりとか、森林療法っていうものが言われるようになってきたんです。だから、心の拠り所として自然を見るというのも、もしかしたら今後はもっと増えてくるのかなって思うんです。
喜々津さん:へぇ〜!とおふじさんも、仕事でかなり(森林に)関わってますよね。
私:まだまだ勉強中です。ちょっと話が変わりますが、(喜々津さんが)ニュージーランドとかアメリカで旅をされてた時って、居場所的なことを感じたことありました?
喜々津さん:旅の時ですね。
私:旅っていう、一箇所に在住しない中で、居場所っていうのを意識されたことあるのかなって思ったんですよ。
喜々津さん:僕の場合はね、自転車の旅なんですけども、基本はテントだったんです。本当に小さな、一人用のテントなんですけど、僕はそれがすっごいくつろげるんですよ。毎晩のねぐらというか、本当にもう居場所というかね。すごい大事だったんです。
私:ぐっすり眠れて、誰にも邪魔をされないっていう?
喜々津さん:そうですね、くつろげるし。夕方からテントで過ごすんですよ。全然英語わからないんですけど、地元のラジオをつけて。ご飯作ったり、よくヘッドランプ点けて本を読んでましたね。そこで長い時間過ごすので、それが本当に自分にとっての安らぎの場所というか。
私:わぁ〜ロマンがありますね!テントでライト点けながら本読むって、絵になりますね。
喜々津さん:正直けっこう目には良くないんですけどもね(笑)
私:もう自分の時間ですね。テントってどういうところに張るんですか?
喜々津さん:アメリカでよく張らせてもらったのが、教会の横ですね。「テント張らせてもらっていいですか?」って訊いて。大抵の人は「いいよ」って言ってくれるんですよね。
私: 優しい世界!
喜々津さん:本当に優しかったですね。あとはね、よくいろんなご家庭で、訪ねた家の人が泊めてくれたんです。ベッドで寝かせていただいて。
私:ベッドのふかふか感に感動されたんじゃないですか?(笑)
喜々津さん:そうですね〜(笑)家の中ですからね。まったく知らない、今日初めて会った方の家のベッドで寝かせていただいて。本当に、自分にとってありがたい居場所でしたね。
私:素敵!一期一会ですね。
喜々津さん:ええ、ありがたかったですね。
私:いやぁ面白いな、私の知らない世界の話を色々お聴きできて。
喜々津さん:こちらこそ、すごいね、楽しくお話しさせていただいて。・・・僕は逆に、行きつけの居酒屋とか、そういうのを持ってる人ってけっこう羨ましく思っていて。帰りにいつも立ち寄る店とか。
私:ないんですか、練馬で(笑)
喜々津さん:そういうのあまり持ってないんですよ。だから、憧れがあるんですよね。
私:もし作るとしたら居酒屋ですか?その他のお店?そこ、夢膨らませていきましょ!!(笑)
喜々津さん:あっはっは(笑)それこそ、美味しい焼き鳥1本食べられて、ビール飲めてくつろげたら良いところだと思うし。
私:じゃあ、これはもう開拓するしかないですね!
喜々津さん:そうですね!