第七弾

いろんな立場の方々と”イバショ”について飲みながら考えてみた!

第七弾 対談者:コミュニティ・カフェ かふぇオハナ

店長 遠藤伸さん

この記事は10分で読めます。*酔っ払っていることがあります。発言の責任は問わないでください*

 

遠藤さん:居場所って、絶対に誰もが居心地いい場所とかないと思うんですよね。誰かにとっては良いけど、誰かにとってはあんま面白くないなーって。それは、主催する人の色があると思うから。僕がやるところは面白いなと思ってくれる人が、きっと今も常連として来てくれてるし。それはそれで良いのかな〜と思ってて。そういう居場所がいっぱい色んなとこにあって、それぞれ合うなってところに誰かがいれれば良いんだろうなっていう気がしています。

 

:人によって居場所の好みも違いますしね。あるホームレス支援をされているNPOの事務局長さんも同じようなことを言っていて。大勢にとっての居場所を突き詰めるよりかは、様々な個性ある居場所がたくさん増えていった方が、取り残される人も減るのではないかと。

 

遠藤さん:そう、そういうふうに思ってると、自分もやるのが楽になるというか。来る人すべてに居心地の良さを提供しなきゃいけないと思うと、けっこうしんどいし。かふぇオハナは、最初の頃の方がもっと「地域の場所としてこうなったら良いな」とか、人のためになろうとかいう気持ちもあったけど、段々そういうことを考えるより、「自分にとって居心地の良い場所を作りたい」みたいな感じが強まってる気がします。自分がやりやすくて、合う人がいてくれればいいやって思えば続けやすい。

 

:そっちの方が頑張り過ぎないし、続けられますよね。

 

遠藤さん:そうですね。まずは、続けることを目標にやりたいねっていうのがある感じだね。最初立ち上げの時は、2人の主催の方がいたんですよ。1人は児童相談所で働いてたから、地域のお母さんとか、ストレスがあるような人がホッとする居場所を作りたいと思ってて。もう1人もそういう同じような雰囲気でカフェやりたいって人がいて。10年前くらいだと思うんだけど、2人の知り合いの福祉関係の人がたくさん集まって、別の名前でカフェを開いたんですよ。

 

:そういう経緯があったんですか。

 

遠藤さん:僕もその時に誘われて、お手伝いしてた感じだった。でも、1年くらいやって経営が行き詰まって、「もうやめよう」みたいな話し合いになったんですよね。で、居場所っていうのはここの場所じゃなくても良いんじゃないかなっていう話になって。その時屋号だったお店の名前を持って、色んなところに出かけて行ってお茶を出すとか、話を聞くとかっていう活動をすれば、居場所は作れるんだからって。今いる場所は資金繰りも大変だから引き上げようと。だけど、児相に勤めてた主催の人と、僕ともう1人は、場所にこだわりたいっていう話になって。むしろ居場所って、同じところにずっとあるっていうことで、「何年かぶりに顔を出したらまだあって良かった」みたいになるから。そういう方が良いなぁって。その時点で、この場所でなんとか続けたい派と、場所にこだわらずに色んな場所でやればそこも居場所だっていう考えの派と分裂したんです。それで、今の僕の体制になったんですね。

 

:場所が固定しているからこそ必要とされる居場所になるものもあれば、場所ではなく必要としているところに行って即興的に作り上げる居場所というのもあるっていう、考え方の違い。

 

遠藤さん:どっちがね、正解とかっていうのはないと思うから。我々は、あんまり「この人に向けて」というコンセプトよりかは、「この場所で続けたい」みたいなとこの比重が上にある感じで。そう思えたのも、近所で常連の人が何人か来てくれてて、「ホッとする」「続けてほしいわ」って人がいてくれたから、頑張ろうって思えたかなって思う。

 

:そうだったんですね。場所を固定していると、地域の人も巻き込みやすいっていう強みがありますね。地域性が強くなるというか。

 

遠藤さん:意図的に巻き込んだりとかは、そんなに得意ではないと思うんですけど、来てくれる人は拒まずにできたらな〜と思う。

 

:この間、サードプレイスについての本を読んでたんですけども、その場所がサードプレイスになる条件の1つが、「常連がいること」だったんです。新しいお客さんも来て、受け入れる常連がいる場所がサードプレイス的な場所になりやすいって書いてあって。オハナさんも、色んな常連さんがいるじゃないですか。

 

遠藤さん:ありがたいことに。カフェの場所貸ししていると、何か企画とか交流会とかをやりたい人って、本当にいっぱいいるんだな〜と思って。哲学会みたいのをやってるグループとか、お菓子作って皆で食べようみたいな企画やったりとか、知り合い呼んでお好み焼き焼きますみたいな人とか。その中で仲の良いコミュニティができたりとか。とおふじさんも居場所の会をやってくれてるしさ。だから、何かやりたい人もいっぱいいるし、色んな人が色んなことやってるっていう、そういう状況が楽しいというか、良いな〜って気持ちがある。

 

:そういう企画とか、誰かと交流したいっていうニーズがけっこうあるんですね。私も居場所の会を開く前は、居場所欲しいなぁと思ってて、そういう場所に詳しいSさんに「オススメの居場所とかありますか?」って相談したんです。そしたら、「自分で作ったら?」って言われて。それで、オハナさんを紹介してくれたっていう経緯があったんです。

 

遠藤さん:そうだったんですか。とおふじさんは、それまで他の色々な会に出てたりしてましたか?

 

:大学院生の時に、若者支援のNPO団体がやってる居場所スペースに1年だけ行ってたことがありました。社会人になって引っ越した関係で、そっちはもう距離的に行けなくなっちゃったんですけど。あと、大学がすごく私にとって居場所だったんです。それも卒業したらいられなくなっちゃって。だから、社会人になってすごく居場所を求めてたっていうのがありますね。

 

遠藤さん:なんかわかる。俺も中学高校は部活が、大学はサークルが居場所みたいな感じだったから。クラスとかは苦手だったから、部活の方でダラダラしゃべって、みたいなところで救われた。大学も、授業出るよりサークルに入り浸るみたいな(笑)。

 

:私も同じかも(笑)。中学高校は部活のために学校行ってたようなもので(笑)。だべったりする時間は楽しいですよね。

 

遠藤さん:そう。今のオハナの感じも、俺にとってはそういう居場所としての延長だね。自分に合う場所を探そうって思うと、色々行ってみるっていうのは月並みだけど、俺も社会人になって読書会みたいなのに参加したりとか。

 

:他のとこの?

 

遠藤さん:そうそう。今色んな人が色んなことをやってて、Facebookで色んなイベントの案内が出たりさ。何個かそういう集まりに行ってみて、良かったところもあれば、ちょっと馴染めないなーみたいなとこもあったし。

 

:ありますよね。

 

遠藤さん:だから、Sさんが「自分で作ってみちゃえば良いじゃん」って言ってたけど、実はそれが一番良い気がしてます。

 

:それもあるかも。主催者だと自分のやりたいようにできるじゃない。

 

遠藤さん:そうなんです。それは、ある意味楽というか、準備は大変だけど。自分のやりたいことやれるし、それが合うなって人が来てくれるから。

 

:自然と集まってくる人も、似たような波長の人だから。

 

遠藤さん:そう。あと俺、オハナでイベントやってくれるっていう時に、自分の参加のハードルが低いんですよ。この場所を運営してますって顔をしてると、参加しやすいっていう(笑)。

 

:ここのオーナーでーす!っていう(笑)肩書きがあると、そういうとこで溶け込みやすいですよね。実は私、主催者側としてイベントを開いたりする時はめっちゃしゃべるんですけど、自分が無名の参加者側になると、すごい根暗になるんですよ。

 

遠藤さん:俺もそうだよ。わかる。

 

:キャラが変わっちゃう(笑)。肩書きがあるって楽ですよね。

 

遠藤さん:そうなのよ(笑)。何だろうね?

 

:なんかね、自信がつくの(笑)。自分には役割があるからここにいて良いんだっていう安心感と、自分の好きなように場を回して良いっていうコントロール感があって楽なんですよね。

 

遠藤さん:すごいわかる。オハナの店長をやらせてもらって、主催として楽になるっていうことを知った。常連のHさんが前に、「自分のやりたいことをやるには、自分で何か開いて巻き込むか、自分の考えに近い人に巻き込まれるかのどっちかしかない」って言ってて。で、Hさんは、自分では主催しないけど参加したい場に行って、ちょっと手伝ったりとかするって言ってて。

 

:なるほど。もしかしたら私達は、巻き込む側の方が合っているタイプなのかもしれない。Hさんは、巻き込まれる方が合っているタイプなのかな?

 

遠藤さん:たしかに、そういうのもあるかもね。自分はどっちの方が良いかを考えると良いのかもしんないのかな。

 

:でも私、Sさんに居場所を作ることを勧められる前までは、絶対に自分からは主催できないって思い込んでました。自分にはそんな大層なことできないって思ってたけど、開いてみたら意外とできるじゃん!自分で自分が驚き!みたいな感じがありました。伸さんは、カフェ開く時に、自分にできるのかなぁみたいな不安とかってありませんでしたか?

 

遠藤さん:めっちゃあったよ。だって、今カレー作って飲食店としてやってるじゃないですか。だけど、飲食店のバイトすらしたことなかったし、自分が作ったものを人に食べさせて、お金を貰うって・・・こんなものでお金を貰って良いんだろうかって、最初すっごい怖かったです。今思うと、最初の頃に出してたカレーは、めっちゃマズかったなーって(笑)。

 

:あの、噂には聞いております(笑)。今はプロが作ったようなクオリティなのに。

 

遠藤さん:本当にだって、最初、わかんないしさ(笑)。家では1〜2人前しかご飯作ったことないけど、急に10人前とかさ。だから、その時に食べた人・・・申し訳ないですよね。ははは・・・(笑)

 

:そっかぁ・・・(笑)。それで改良を重ねてきたんですね。

 

遠藤さん:もっとね、色々計画立ててやるのが本当だと思うんすけど。試食をいっぱいしてみるとか。

 

:まあまあ(笑)

 

遠藤さん:ユルユルでやってた(笑)。

 

:それがもしかしたら、続けられる秘訣なのかもしれない。

 

遠藤さん:そうかも。何が良いかよくわかんないけど、とにかく続けるっていうことね。最初の方に言ったけど、始めはもっと義務感というかさ、来た人と来た人を仲介して紹介し合ったら良いな〜とか思って、実際やってたけど。とにかく今は、続ける形を。

 

:常連さんも喜ぶと思います。きっと、ずっと続けて欲しいって思ってると思います。

 

遠藤さん:そうだね〜。コロナが済んでまた来た時に、「あぁまだあったな」ってなるのが良いなって思う。

 

:じゃあまた、コロナ落ち着いたらカレー食べに行きますので、よろしくお願いします。

 

遠藤さん:こちらこそです。

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