第十三弾

いろんな立場の方々と”イバショ”について飲みながら考えてみた!

第十三弾 対談者:全国喫茶コーナー交流会

事務局長 兼松忠雄さん

この記事は10分で読めます。*酔っ払っていることがあります。発言の責任は問わないでください*

兼松さん:居場所っていうフレーズを私も気軽に使っちゃうんだけど、改めて自分でどこって言われると「ここです」っていうのがなかなか言い辛いなぁってね。なぜかって考えてたら、2歳で脊髄カリエスを発病してるんですけどね。だんだん痛いなって、膿が出てきて起きていられなくなって、小学校2年生で病院に入るんです。そこで気持ちがガーーーッと落ちるんですよ。その当時は薬がなかったので、もう何歳まで生きられるかわからない。ですから、入院していた4年ぐらいが、ずっと下を向いてるんですよ。で、言わばそっから、自分としてはずっとアゲアゲなんですよね。

 

:ずっと右肩上がりな感じで。

 

兼松さん:そうそう。これ以上ね、悪い事はないんですよ。

 

:脊髄カリエスは、今もずっと症状がある感じなんですか?

 

兼松さん:えーっとね、背骨に結核菌が入るんですよね。それで、骨が変形して曲がってく症状で。ですから、寝る時はなぜかうつ伏せでないとね。同じカリエスだとあれですよ、愛媛の俳句をやってた・・・正岡子規か。

 

:あ、そうなんですか!

 

兼松さん:彼は最後はね、痛くて痛くて、寝た状態で亡くなるんです。自分はそれほど酷くはないんですけど、そういう部分は欺し欺しやるしかないですね。だからね、そんなに長生きってイメージをしていなかったので、同級生に会うと「まだ生きてるんだ」ってよく冗談で言われるぐらい(笑)20〜30歳ぐらいで体ボロボロになってるんじゃないかなって皆思ってましたから。

 

:今おいくつでしたっけ。

 

兼松さん:今年69ですね。

 

:2倍、いや3倍!

 

兼松さん:そうそう。たぶん30までしか生きないんだろうなっていうのが半分あって、自分はどう生きるかっていうのに確かに悩んだ気がする。だから、何になりたいっていうのも、もう何でも良いやじゃないですけど、特にこれをやらなきゃいけないっていうのはなくて。まぁなんとかなれれば良いやって感じだったんですかね。

 

:もう生きられればなんでも。

 

兼松さん:その時はね。

 

:そんな中で、アビリンピック審査員もされているし、重度心身障害者施設の自主管理運動とか、学生の時から色々社会問題に立ち向かっていらっしゃいましたね。

 

兼松さん:いやーとおふじさんだけです、そう言ってくれるのは(笑)

 

:えぇーそんなことないですよ絶対!驚きました、大学の講師もされてるんですよね。

 

兼松さん:若い人としゃべってないとボケちゃうので(笑)ちょうど良いですよ!

 

:そう!何を教えていらっしゃるんですか?

 

兼松さん:福祉と社会教育です。人生の半分くらい公務員でしたので、授業のメインも障害者のことなんですよ。

 

:「全国喫茶コーナー交流会」というのも、最初は公務員時代に立ち上げたんですよね。

 

兼松さん:公民館に配属されていた時に、前任者がやっていた青年と障害者の喫茶を通じた地域共生みたいなものを引き継いだ形です。こうした障害者が働く喫茶というのは当時はそんなになかったのが、今は1000箇所くらいあるんです。

 

:喫茶コーナーは、障害者の方がいるところって定義ですか?

 

兼松さん:そうです。コミュニティカフェになると、極端な話、なんでもありなわけ。そうなっちゃうとボヤけちゃうっていうのがあって。

 

:障害者特化にした方が、当てはまる当事者の方は行きやすいですね。

 

兼松さん:そうですね。ただし、それも善し悪しでね。もともと作業所の延長線上で喫茶をやっているようなところは、あんまり地域の関係とか連携とかっていうのは非常に薄いんですよ。そういったとこをね、どうやって地域に開いていくのかっていうのが、私なんかは課題だなと。店やってりゃ良いってもんじゃなくて、居場所っていうと、本当に“居場所”ってなっちゃうんですね。人が入って来れない。

 

:他の人が。

 

兼松さん:そうそう。常連さんが朝から入り浸っちゃってっていうのは困るわけですよね。

 

:もっと広く開かれていたい。

 

兼松さん:そう。常連さんも来るし、他の人も来れるっていうのが理想ですね。最近の傾向として、特別支援学校なんかで喫茶を始めて、営業許可を取ってお店をやってるところが増えてるんですよ。だからね、今そういったところを見学に回ってるんですけどね。

 

:じゃあ全国の特別支援学校の喫茶に行かれてるんですね。その増えてるっていうのは、需要が増えてきたってことですか?

 

兼松さん:Yes。それは、喫茶を通じ接客を学ぶというのが学校側でも非常に良いとわかってきて、全国に広がるようになったんです。接客の実習を通してホスピタリティ、おもてなしっていうところも色々勉強できる。それが就職につながるっていう意味で、今非常にカリキュラムの中でも大きい比重を占めてる。

 

:障害者の方が接客することで、してもらう側からする側に変われるというのと、お客さんとして来てくれた地域の人が、障害者について理解を深めてもらうきっかけにもなりますね。

 

兼松さん:そうですね。初めて青年と障害者が企画して始めた時っていうのは、重度の親からすごく猛反対があってね。ウチの子どもをさらし者にするのか!みたいな。車イス乗って、手が辛うじて動く感じでお湯を入れる青年もいたりしたのでね。今でこそ普通にやってるんですけど、障害者が喫茶を始めるっていうのは、けっこうハードルが高かったですね。

 

:接客をやってみて、障害者の方には変化っていうのはあったんでしょうか?

 

兼松さん:やっぱり外へ出ることができたのは、一番デカいでしょうね。役割を持つこと、自分がやってる作業を通じて、お客さんに何かサービスをして喜ばれるっていうようなリターンが、普通はないんですよね。もう一つは、障害者は通常は家と作業所の往復なんですよ。それに第3の、それこそ居場所じゃないですけど加わって。ある人はボランティアだったり、ある人はスタッフだったりっていう形で関わるのに、そういう居場所が使われるっていう意味では、喫茶っていうのはとても良いもの持ってるんじゃないかなーっていうふうには思ってますね。

 

:喜ばれるリターンがあるっていうのは、障害者じゃなくても嬉しいことですよね。生き甲斐に繋がること。

 

兼松さん;デカいですね!

 

:普通に暮らしてても、喜ばれる経験ってそんなにあるものじゃないですし。じゃあ、入院して気分が落ち込んだ時や、死を意識した時に、こういうのがあったから耐えられたとか、心の居場所になってたとかはありましたかね?

 

兼松さん:入院というのは名ばかりで。結核って、隔離して安静にしてるのがポイントなんですね。でも、我々小学生だから、そんなできないわけですよ(笑)隠れてね、山の中で鳩を飼ったりね。

 

:鳩を飼っていたんですか!?懐いてたんですか?

 

兼松さん:懐いてましたよ!なんでかわかんないけど。

 

:野生の鳩ですか?

 

兼松さん:を捕まえたんでしょうね(笑)

 

:え、すごいんですけど!(笑)

 

兼松さん:交代でエサをやりに行ってたっていう記憶があるんですよ。とかね、小さな広場で野球をやったりね。たまたま振り回した木のバットが友達に当たっちゃって大変なことになったりとか(笑)

 

:医者が卒倒する!(笑)そんなこともあって、遊んでくれる友達がいたから楽しく(笑)

 

兼松さん:ですからね、もちろん痛かったんですけど、入院していたとはいえ守られてたっていうかな。それをあえて居場所といえば居場所なんだろうけど、病院は居場所って言えるのかな?今から考えるとまぁ大変なことですよ。例えば、貧乏だったからチーズなんか食べたことない、だから大嫌いなわけですよ。その匂いを嗅ぐだけで嫌で、チーズを残して怒られてましたね。

 

:えー怒られちゃうんですか。

 

兼松さん:嫌でしょ?ですから、改めて居場所って言われると・・・何を指してるんだろう?職場にしろ家庭にしろ、今でも面白い場所だと思ってたし、それを居場所と言えば言えるのかなと思うんですけどね。

 

:私の場合は、これまであんまり心安らげる場所がなかったので、自分がいて良い居場所というか、居心地の良さって皆さんどういうところなのかなーみたいな感じで聴かせていただいていて。

 

兼松さん:例えば、一番人生で楽しいと思えるような場所とか時間とか?と言われると、とっても人に会うのが好きだからね、地方に行って人と会ってくることが良い居場所なんだろうね。なんでもそうなんですけど、どうもね、聴きたくなるんですよ。阪神淡路大震災も東日本大震災もそうでしたけれども、ボランティアを集めて1ヶ月後にはそこにいるようにしてるんですね。現場に行って、会って話を聴いてっていうのは、自分に納得できるじゃないですか。駅前で「カンパしてください」っていうの、例えば介助犬の。でも、だったら自分で行って来いよっていう。この間、初めて介助犬に会ったんですけどね。介助犬って全国で何頭ぐらいいる?

 

:えー、どのぐらいなんですかねー?考えたことなかった。

 

兼松さん:わかる人は少ないんじゃないかな。70頭ぐらいしかいないんですよ。

 

:えっ、そんな少ないんですか!各県に2匹もいない。

 

兼松さん:まぁ東京が圧倒的に多いでしょうから、すごいね。だから、実際にそういう人に会いに行って、情報をもらってとかいうのが面白い。そういうのって気持ちいい場所だとか時間だなあっていうふうに思いますね。色んなところを視察に行ってますので。

 

:色んな人に会って、色んなところに出掛けていくのが趣味みたいなもんですね。

 

兼松さん:まぁ相手がちょっと迷惑でしょうがね(笑)

 

:そーんな事はないと思いますけどね(笑)いや行動力がすごいです!こんな色んな活動をされている方とは知らず、今日は対談ありがとうございます。

 

兼松さん:いやーなんて言うんだっけ、止まらない動物。

 

:止まらない動物?

 

兼松さん:止まると死んじゃうみたいな魚。

 

:いるんだ、そういう魚!なんだろ?その生き物はずっと寝てないってことですかね。

 

兼松さん:寝ながら泳いでんのかね(笑)

 

:そのくらい兼松さんは行動的ということですね。

 

兼松さん:人から見るとそう見えてるっていうことですよね。

 

:え、ご自分ではあまりそうは感じないんですか?

 

兼松さん:いやぁ、長生きのイメージがなかったので、半分急いでるかなーっていう気がしないでもないです。はっはっは(笑)

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