第六弾

いろんな立場の方々と”イバショ”について飲みながら考えてみた!

第六弾 対談者:スタイリスト 河面乃浬子さん

この記事は10分で読めます。*酔っ払っていることがあります。発言の責任は問わないでください*

 

乃浬子さん:ずっと家の中で疎外感を感じてて居場所がなかったからね、外に居場所を求めて生きてきたの。で、実際にニューヨークまで行っちゃったという(笑)

 

:そうだったんですか!伺っている限り、乃浬子さんのお母様って、乃浬子さんのトラウマの1つでもあったんじゃないですか?

 

乃浬子さん:そうね、私的にはトラウマというより、人生の課題だったと解釈してるけど。母は、世間に対して完璧な良い人仮面を着けて生きた人で、感情のはけ口を私に向けることで心のバランスを保っていたんだと思うの。いつも笑顔で知性溢れる、誰からも憧れられる人だったのよね。で、心の中は他者との比較から嫉妬でいっぱい。そんな言動や顔色を下から見上げては、大人ってなんでこんなに外面と内面が違うんだろう?変なの!って思ってた。

 

:なかなか二面性が強いお母様ですね。

 

乃浬子さん:ホントはこの人、ジキルとハイドじゃないか?って思ったりしてね(笑)

 

:それって子どもの頃からですよね?けっこう今は、ヤングケアラーが問題視されるようになりましたし、なかなか深刻な問題だと思います。

 

乃浬子さん:そっか、じゃ私は時代の先駆けだったんだね(笑) とにかく、逃げることで私、結果的に色んな経験をさせてもらったわけですよ。「反発」というジェットエンジンを搭載し続けたことで、外へ外へと意識が向いてね。

 

:反発?

 

乃浬子さん:親に反発するから家を出るじゃないですか。日本の常識に反発するから、日本に居づらくなって外に行くじゃない?で、テストの点数で頭の良さの順位を決める価値観に猛反発したからこそ、自分の個性を活かそうとするじゃない。

 

:反発を逆にバネにして生きて来たわけですね。

 

乃浬子さん:そうそう。私がやってきたことって、ほぼ反発からの行動だったかも。でもね、人間本来の在り方が「自律の愛」だとすれば、反発は拗ねた怒りなんだと思う。去年までは相変わらず目を背けて「外こもって」生きて来たのだけれど、コロナで、どうにもこうにも母と向き合わざるをえなくなって。そのお陰で、悔いなく母を看取ることが出来たの。こんなユニーク過ぎる経験をいっぱいさせてもらえて、我ながら随分スリリングで面白い人生を選んで生まれたなっと。だったら活かさなきゃ勿体ないもんね(笑)

 

:そういう生きづらさを積み重ねていって、「ライフシフト」とか、今色んな活動をやっているじゃないですか。それで、色んな人に必要とされていて。

 

乃浬子さん:そんなふうに思っていただけたら嬉しいんだけど。私自身がそうだったように、「自分は不甲斐なくてこのままじゃダメだ」ってネガティブエネルギー満載の方たちに、スタイリングを使って、「あ~こんな自分でもいいのかも」ってありのままの自分を少しずつ受け取ってもらえたら。それが私のお役目だからね。

 

:私も一度、ライフシフトに参加させていただいて。実は、自分の容姿がずっとコンプレックスで。

 

乃浬子さん:うんうん、参加してくれた時、そんなこと言ってたよねぇ。

 

:そう、自分のことが好きじゃなかった。それで、ライフシフトでイメチェンしたら、職場の人とかにも「似合ってるじゃん、可愛くなったね!」って言われて。あれから、洋服屋さんを見て歩くのが好きになって、色々試着してみたり。おしゃれが楽しみになりました!

 

乃浬子さん:わぁ!後日談を聞くのが一番嬉しい!!あっ、それぜったい書いてね(笑)

 

:OKです(笑)そういえば、自己否定が強い人って、容姿にコンプレックスを持っている方けっこう多いと思うんですよね、私の肌感覚だと。

 

乃浬子さん:そうそう。だからさ、ライフシフトで最初に「どう在りたい?」って聴くじゃない。それって、実は未来の自分に向けて投げかけるゆる~い意思表明みたいなものなんだけれども、過去の自分とか今の自分に種がないと、未来の自分のイメージっていうのは絶対に湧いてこない。

 

:「自分にあんなスタイルは絶対無理だろう」とか無意識に思ってしまって、そもそも考えられないんですよね。あの時私も言葉に詰まった気がします。

 

乃浬子さん:そうだよね。カッコイイとか、可愛いらしいとか、フェミニンとか、自分の中に要素がないって信じていると、「そんな言葉を口に出してはいけない」という自動ブロックが発動して真っ白になるの。憧れっていうのは、そもそも潜在意識の奥に在るから憧れるんだよね。

 

:なるほど、すでに自分の可能性を感じているから。

 

乃浬子さん:そう。例えば、自分の女性性を受け取りたくないと思ってる人は、一旦それを受け取ってあげてほしいの。男性性と女性性のバランスは人それぞれだけど、どんな自分でもそれでOKだよって、なんでもアリだよーって、自分をまるっと受け取ってあげることで、自分も周りも一緒に赦して癒やしてあげることが出来ると思うのよね。

 

:受け取れることで、自分の中の憧れとか可能性が出てくるっていう。それがないと、未来が見えなくなっちゃいますよね。

 

乃浬子さん:そうなの。で、自分の未来の可能性を無条件で信じてあげることが本当の自信なんだよね。深いでしょこれ(笑)

 

:深い!

 

乃浬子さん:そもそも私が、広告のスタイリストをしていて、かなりメジャーなクライアントさんの仕事をいただいて活躍してて。でも反面、どんどん自己解離が起きてきちゃってね。

 

:自己解離?

 

乃浬子さん:不思議なんだけど、自分を受け取ってないと、活躍すればするほど「こんな私なんかが、こんなすごいことをやっていて良いわけがない」みたいな意味不明の自己疎外が起きてくるわけよ。すると、どんどん社会の中で生きづらくなって、海外に行きたくなるわけ。今思えばウツの初期かなぁ。

 

:なんとなく「自分がここいても申し訳ない」っていう思いから、違うところに。

 

乃浬子さん:今、多くの日本人が自己否定から居場所を見出せなくなっていってしまってるよね。私の場合、周りはウェルカムだったかもしれないのに、自分がそんなレベルにいる自信がなかったのよね。だから、自信がないっていうのは、自分が本来持っている天分や才能とか、積み上げてきたキャリアとか、そんな素晴らしい資質を活かせないの。それって、とってもザンネンで勿体ないと思わない?

 

:居場所があっても活かせない。活かす機会があっても自信がないと動けないんですよね。

 

乃浬子さん:そういうこと。どんどん活かしてあげないと。それが自分を大切にしてあげることだと思うし。今、目の前のことを丁寧にやっておけば、後はもうお任せで良いや~と思うようになったの。結局自分が今、心地よくいれば、後の状況は与えて貰えるから。

 

:そこでチャンスが来た時に、ちゃんと掴むことが大事。

 

乃浬子さん:そう。だから、自分を心地よく緩めておくと、チャンスが来た時におっ!これだ!!って受け取ることが出来るでしょ。「自分を活かして生きる」って決める覚悟が、私は自律だと思うの。「相互依存、Interdependence」って言う言葉があってね、お互いが自分にできることを提供して、双方を応援するっていうことなんだけど。

 

:相互依存って言葉があるんですね。

 

乃浬子さん:ちなみに共依存とは真逆だよ。共依存はお互いを束縛するっていうことだから。

 

:思うんですけど、「依存」って言葉が日本語だと悪く捉えられ過ぎているイメージがあって。依存が悪いことってなると、誰かに助けを求めることは悪いことだ、みたいな。全部自己責任として考えられてしまって、それどうなんだろうって考えます。

 

乃浬子さん:ホントにそれ!結局そこなの。日本には「遠慮」という文化があるじゃない。相手に甘えちゃいけないというか、周りに体裁作らなきゃとか。そういえば療養中だった母は、ペンを落としても「拾って」と頼めないくらい周りの目を気にしてたなぁ。

 

:そんなに自分に厳しい方なんですね!

 

乃浬子さん:共依存の関係って、自分に厳しくて娘にも厳しいってこと(笑)だから、共依存を手放して相互依存、つまり、お互いが精神的に自律してて、応援し合える関係が最高に良いなっと思ってて。そんな場になったら良いよね、心地よい居場所が。

 

:どっちか一方的に支配するんじゃなくて、お互いが助け合うっていう関係があって。

 

乃浬子さん:そう。私が教えてあげるって上から目線じゃなくて、お互いに自尊心を呼び起こしたくて。私がね、あのライフシフトの場で嬉しそうにはしゃいでいるのは、皆さんからたくさんエネルギーを貰ってるからなのね。笑顔とか、さっきみたいに「お洋服選ぶのが楽しくなったよー」って、そんな一言が私の大好物なんだよね(笑)

 

:支援する側・される側って分けると、多少なりとも上下関係ができるじゃないですか。そうじゃなくて、お互いに励まし合う関係っていうのは本当に大事ですね。

 

乃浬子さん:これからの風の時代は、自分の魂や心を大事にしていったり、相手を思い遣ったり、自分が愉しく生きることで、お相手へと波動が伝わっていったり。私は、ホンダのバイクや、パルコとかのスタイリングをしてたキャリアがあるでしょ。その頃をマテリアル(物質・目に見えるモノ)の時代と呼ぶなら、これからはスピリチュアル(目に見えないモノ)との良いとこ取りして融合しちゃうのが私の使命だって思って。物資が溢れてる今、それでも「もっともっと」と言われ、皆さんがちょっと戸惑ってると思う。今のあなたじゃダメだから、コレを使わないと!って、未来への怖れを喚起したり呪ったりする商法でしかモノが売れなくなったよね。振り回されて混乱している人達に、ライフスタイルの愉しみ方や、洋服でも人でも、出会ったご縁を活かそうねってシェアしたいの。

 

:哲学を愉しむためのスピリチュアル。

 

乃浬子さん:そういうこと!ライフスタイルって哲学だからね。そもそも私、すご~くケチで(笑) 野菜とか、皮から種まで丸ごと活かしたい。根っからのライフスタイリストでしょ。

 

:素晴らしい!環境保全の分野からすると優等生ですよ。

 

乃浬子さん:そうだと思うわ(笑)例えば20%オフとかになっている食材に出会ったら、そっちを買いたくなるの。その子をなんとか使って活かしてあげたいのよね。もし廃棄処分になっちゃったら勿体ないというより、天寿を全うできないじゃない(笑)

 

:ゴミ問題まで解決しちゃう!(笑)

 

乃浬子さん:あっはっは(笑)なので、その考え方や生き方が、私のライフスタイリングに流れてるんだよね。その人が自分の資質に気付かないまま活かされないと、せっかく生まれたのに勿体ないとか。使ってないお洋服を活かしてあげないと勿体ないとかね。

 

:その人がすでに持っているものを活かすっていうこと。

 

乃浬子さん:そう、ライフシフトの時に必ず話すのは、ただ内在するものを引き出して可視化するだけだよって。自分を受け取って心地よいライフスタイルを、一緒に愉しんでいきたいなっと思ってるの。

 

:素敵な活動で。応援しています!

 

乃浬子さん:ありがとう!!母を看取ってから色んなことが観えてきてね。確かに一時、この生きづらさは「毒親」のせいだ!!って、そんな時期も普通に通過してきたけれど、今はね、母との関係をもっと俯瞰出来てて。母の子育ての視点から観てみれば、私は相当扱いづらい子供だったかもなぁって思う。そして、母もまた、母の両親や、父方の親(祖父母)との価値観がそぐわなくて世代間連鎖が起こっていたんじゃないかなっと。そんなこと感じたりしています。

 

:そういうことなんですね。

 

乃浬子さん:どちらか一方が被害者でも加害者でもなくて、さっき出たヤングケアラーとか、ひきこもり、80/50とか、ADHDとか、それにコロナも後押しして、問題っていう視点からだときりがないじゃない。だから、「はいはい、で、どう生きていきたいの?」って希望の方向へ、一緒に上を向いて歩いて生きたい。この指とーまれって言いながらね。

 

:はーい、私もその指とまりまーす(笑)

前の記事

第五弾

次の記事

第七弾